2023年の飲食業界の動向まとめ
更新日: 2024/03/27
公開日: 2024/03/27
2023年5月8日には、長らく日本経済に大きな影響を与えてきた新型コロナ感染症法上の位置付けが「5類感染症」(※)に変更され、人々はかつての生活を取り戻しつつあります。
※5類感染症…政府として一律に日常における基本的感染対策を求めることはない/感染症法に基づく、新型コロナ陽性者及び濃厚接触者の外出自粛は求められなくなる、等に政府対応が変更となった。
本記事では、2024年2月の最新データをもとに2023年の飲食業界を振り返ります。
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目次
- 2023年飲食業界全体の動向
- 全体の売上は回復傾向だが過去最高の倒産件数も
- 飲食業界の求人動向
- 飲食店従事者数は2019年の9割まで回復
- 飲食業界の完全失業率は改善傾向
- 【前年比114.1%】飲食業界の売上は回復傾向
- 新型コロナの感染症法上位置付けが「5類」に移行し街に人の流れが戻る
- 訪日外国人数が回復
- 客単価の上昇
- 利用客数は微回復するもコロナ前の2019年には届かず、店舗数も戻らず
- 倒産件数が過去最高に
- 物価高や人材獲得難を背景に店舗運営コスト増で店舗経営の難易度あがる
- 2023年飲食業界業態別の動向
- ファーストフードは好調。コロナを経てテイクアウトとデリバリーサービスの定着化に成功
- パブ/居酒屋は店舗数がコロナ前の2019年比69%。飲酒習慣率の低下が顕在化したか。
- 今後の飲食業界について。インバウンド増に対処し多言語対応や日本円に限らない決済手段を
- 多様な言語に対応したメニューや多言語対応注文端末
- 日本円に限らない決済サービスの拡充
- これからの飲食業界に興味がある方は、フードコネクトをご利用ください
2023年飲食業界全体の動向
2023年5月8日に新型コロナの感染症法上位置付けが「5類」に移行し、社会経済環境は「ポストコロナ」へ移行しました。
コロナによる行動制限が解除となり、そのため年間を通じて外食需要は回復しました。
※以下のデータは、日本フードサービス協会が展開する「外食産業市場動向調査 令和5年年間結果報告」を参考とさせていただいております。
全体の売上は回復傾向だが過去最高の倒産件数も
日本フードサービス協会が展開する「外食産業市場動向調査 令和5年年間結果報告」の調査内容によると、飲食業界は全体の売上としては回復しているものの、全てが成長しているわけではありません。飲食店の倒産数などが過去最高値となっています。
▼2023年飲食業界ポジティブ面
飲食業界全体の売上 | 前年2022年比114.1%コロナ前の2019年と比較しても107.7% |
客単価 | 前年2022年比107.3% |
客数 | 前年2022年比106.3%コロナ前の2019年と比較すると90.9% |
▼2023年飲食業界ネガティブ面
店舗数 | 前年2022年比で98.9%、コロナ前の2019年比で92.4% |
倒産数 | 3年ぶりに増加し、過去最多の893件 (東日本大震災時が800件で歴代2位) |
飲食業界の求人動向
- 飲食店従事者数は2019年の9割まで回復
- 飲食業界の完全失業率は改善傾向
飲食店従事者数は2019年の9割まで回復
2023年6月の新規求人数は2022年同月比で1.3%増加するなど、求人数も回復傾向が見られ、コロナ禍で落ち込んだ飲食店従事者数もコロナ前の2019年の9割まで回復しました。

飲食業界の完全失業率は改善傾向
飲食業界の完全失業率は2023年は改善傾向がみられました。完全失業率とは、労働力人口(15歳以上の働く意欲のある人)に対する完全失業者(働く能力と意思を持っているが、就業の機会が無く、求職活動をしている人)の割合のことです。数値が高ければ高いほど、「働く意欲がある人は多いのに、職を得る機会がない/就業していない」ということになります。2023年の飲食業界の完全失業率は、2.5%という形でした。コロナ禍で悪化した2020年10月の数値より回復しています。

総じて、求人市場はコロナ禍に比べ活気が戻ってきているといえますが、離職率は依然高いです。
【前年比114.1%】飲食業界の売上は回復傾向

2023年度飲食業界の全体売上は、前年比114.1%と2022年から連続して110%超の回復を見せました。コロナの影響がなかった2019年と比較しても全体売上は107.7%増であり、コロナの影響から脱したといえる状況になりました。
2023年飲食業界全体の売上が伸びた背景には下記が考えられます。
- 2023年5月8日に新型コロナの感染症法上位置付けが「5類」に移行し人の流れが戻ったこと
- 2023年4月に入国規制が撤廃され、訪日外国人数が回復したこと
- 飲食業界の全体客単価が上昇したこと
新型コロナの感染症法上位置付けが「5類」に移行し街に人の流れが戻る
2022年あたりから徐々に街に活気が戻ってきた実感を得た人は多いのではないでしょうか。人々がコロナ前のように活動しコロナ前と同じように飲食店を利用するようになりました。
街に活気が戻るまでの流れ | 年月日 |
---|---|
緊急事態宣言が解除 | 2021年10月 |
まん延防止等重点措置の全面解除 | 2022年3月21日 |
新型コロナ感染症法上の位置付けを「5類感染症」に変更 | 2023年5月8日 |
訪日外国人数が回復
2023年は円安の影響も相まって海外旅行者のインバウンド需要も高まりました。JNTO(日本政府観光局)のプレスリリースによると、2023年の年間訪⽇外客数は、25,066,100人。日本に訪れる外客数は右肩上がりに伸びており、コロナ前の2019年と比較して78.6%と8割近くまで回復しています。
客単価の上昇

2023年の飲食業界の全体客単価は、前年比107.3%。実は、全体客単価は2013年から10年連続で100%超で増加しています。客単価の上昇は業界全体の売上増にも大きく寄与していることも事実ですが、物価高により原材料が高騰していることや、慢性的な人手不足から、人件費が高騰していることなど、飲食店を営業する上でかかるコストが大きくなり、客単価をあげる必要があったという背景もあります。
利用客数は微回復するもコロナ前の2019年には届かず、店舗数も戻らず

2023年の飲食業界の全体利用客数は、前年比106.3%増と2022年よりは増えています。
しかしながら利用客数はコロナの影響で2020年、2021年に大きく数を減らしており、2023年の数値も対2019年比90.9%とまだコロナ前の水準には至っていません。
倒産件数が過去最高に
飲食店の倒産数は3年ぶりに増加し、過去最多の893件(東日本大震災時が800件で歴代2位)となっています。
物価高や人材獲得難を背景に店舗運営コスト増で店舗経営の難易度あがる
食材や光熱費の値上げや、採用難から従業員の確保がうまくいかず、店舗運営に支障をきたしてしまうことも少なくはありません。上述したように客単価をあげ対策したところもありますが、対応しきれず倒産につながった件数が多かったようです。
2023年飲食業界業態別の動向

ファーストフードは好調。コロナを経てテイクアウトとデリバリーサービスの定着化に成功
テイクアウトとデリバリーの定着に成功したファーストフード店は売上前年比110.4%と好調です。コロナ前の2019年と比較しても売上比120.1%。コロナのピンチをうまくチャンスに変えた良例であることが分かります。
パブ/居酒屋は店舗数がコロナ前の2019年比69%。飲酒習慣率の低下が顕在化したか。
ファミリーレストラン、ディナーレストラン、パブ/居酒屋、喫茶は回復傾向ではあるものの、コロナ前の売上水準には達していないことが分かります。
特に「パブ/居酒屋」は店舗数が2019年比で69%と減少しており、かつての水準にはまだ遠い現状です。
背景には飲酒習慣率の低下があります。コロナ禍で大人数の宴会が自粛されたことも顕著ですが、酒類の消費量はコロナ前から減少傾向でした。元々下がっていた飲酒需要がコロナ禍により顕在化し、かつての市場規模を取り戻していないといえます。
今後の飲食業界について。インバウンド増に対処し多言語対応や日本円に限らない決済手段を
円安の影響も相まり、インバウンド観光客は今後も増加を見込んでいます。そのため、インバウンド観光客に向けた様々な対応が今後増えると見込まれます。
【インバウンド観光客に向けた対応例】
- 多様な言語に対応したメニューや多言語対応注文端末
- 日本円に限らない決済サービスの拡充
多様な言語に対応したメニューや多言語対応注文端末

増加傾向にあるインバウンド観光客の最も高い関心を集めているのは、日本食を食べることです。
そのため飲食店も様々な国の言語に対応することでより多くの顧客獲得が見込めます。
また、外国の方とのトラブル(宗教・ビーガン)を回避するためにも多様な言語に対応したメニューは必要です。
モスバーガーを展開する株式会社モスフードサービスでは日本の食文化発信のために、外国人むけのメニューをモスバーガー全店舗で導入を行なっています。
また、多言語対応注文端末で日本語が分からずとも食事をオーダーできるツールを導入する飲食店もでてきました。
タッチパネルやタブレットを使って注文する方法や、自身のスマホを使ってテーブルのQRコードを読み込むことで注文できるサービスの導入が進んでいます。
これらの飲食店の他言語への対応で訪日観光客にとってはストレスなく注文することができ、お店側もオペレーションの簡略化などのコスト削減が期待できます。
日本円に限らない決済サービスの拡充

店舗によっては、日本人向けはもちろん、訪日外国人に向けた決済方法の多様化を進めています。
QRコード決済でお馴染みのPayPayでは、店舗に設置してあるPayPay用のコードを読み込むことで、中国のモバイル決済市場で50%のシェアを誇るAlipayを利用できるサービスを提供しています。
日本におけるキャッシュレス比率は36%ですが、韓国では95.3%、中国では83.8%と高い水準です。キャッシュレスが進んだ国から訪れた人は、現金を持つ習慣があまりなく、日本という海外で見慣れない日本の紙幣・硬貨でのやりとりはストレスに感じています。そのため自国でもよく利用しているキャッシュレスのロゴやキャンペーンのポスターを見ることで自然とそのお店に目が行きます。
インバウンド観光客が急回復している中で多様な決済サービスの拡充は、飲食店の勝ち筋の一つになるでしょう。
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