入社する前に通知される労働条件通知書。
どこを確認するべきなのか分からないという人も多いのではないでしょうか。
労働条件通知書には、給与や労働時間などさまざまな労働条件が記載されています。
入社した後で、労働条件によるトラブルを避けるためにも、細かく確認しておくことが大切です。
本記事では、労働条件通知書で確認すべき7つのポイントについて詳しく解説します。
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目次
- 労働条件通知書で確認すべきポイント7つ
- 1.契約期間
- 2.就業場所、業務内容
- 3.就業時間、残業時間
- 4.賃金
- 5.休日、休暇
- 6.退職に関する事項
- 7.その他
- 飲食業界でよくあるトラブルとは?
- 残業代未払い
- 長時間労働
- 休業時の給与未払い
- 労働条件によるトラブルを防ぐ方法
- 労働条件通知書の変更を依頼する
- 雇用契約書も締結する
- 転職エージェントに相談する
- 外部機関に相談する
- 入社前の労働条件の確認は徹底しよう
労働条件通知書で確認すべきポイント7つ
労働条件通知書は、労働者への交付が法的に義務付けられている書類です(2019年4月以降は電子化も認められています)。内定が決まった際、労働条件が選考時の内容と相違がないのかを確認する必要があります。
そこで、労働条件通知書にて確認すべきポイント7つを下記の表にまとめました。
確認したい項目 | 記載されている内容 |
---|---|
契約期間 | 契約期間の定めの有無、期間 |
就業の内容、場所 | 労働者が従事する業務内容、就業場所の住所 |
就業時間、残業時間 | 始業、終業、休憩、残業の具体的な時間など |
賃金 | 基本給、諸手当、賃金の締め日と支払い日、支払い方法など |
休日、休暇 | 有給休暇、週休日数や曜日、産休、年末年始休暇など |
退職に関する事項 | 定年制度、継続雇用制度、自己都合退職、解雇事由など |
その他 | 昇給や貸与品など、企業独自に定めている規定 |
それぞれのチェックポイントについて解説します。
1.契約期間
契約期間の欄には、労働契約の期間に定めがあるのか否かが記載されています。一般的に正社員は、契約期間の定めがない無期労働契約に該当し、契約社員やアルバイト・パートは契約期間が定められている有期労働契約になります。
そのため、正社員で就職する人は期間の定めなしになっているのかを確認しましょう。契約期間の定めがない場合の記載例は下記の通りです。
契約期間 | 2023年5月1日から(期間の定めなし) |
もし、期間の定めありと記載されていると、有期雇用契約になっているため企業に確認しましょう。
2.就業場所、業務内容
入社後に従事する具体的な業務内容や、実際に働く場所の住所や店舗名などが記載されています。
就業の場所 | 〇〇店 |
就業場所について複数の店舗を展開している企業の場合、別の店舗へのヘルプ出勤や異動の可能性があります。異動や他の店舗へヘルプがある場合は明記されるのが一般的ですが、記載されていないケースもあるため確認しておきましょう。
業務内容の記載例は以下の通りです。
従事すべき業務の内容 | ホールスタッフ |
就業内容で確認すべきポイントは「ホールで応募したのに入社したら調理だった」などの違いがないよう、自分が応募した職種が合っているのかを確認します。
3.就業時間、残業時間
始業時間・終業時間・休憩時間・残業時間(所定時間外労働)を確認します。具体的な記載方法は以下の通りです。
就業の時間及び休憩の時間 | 午前 11時 00分から 午後20時00まで [うち休憩時間 60分] |
選考時に相違がなかったとしても入社後のトラブルを避けるため、労働基準法で定められている法定労働時間について把握しておくことが大切です。
就業時間 原則1日8時間、週40時間まで(労働基準法第32条) 休憩時間 就業時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上(労働基準法第34条) 時間外労働の上限 原則、月45時間、年360時間(労働基準法第36条) |
また、飲食店によっては「変動労働時間制」を採用している場合もあります。変動労働時間制とは、以下のように忙しい月末に労働時間を増やす代わりに、それ以外の期間に労働時間を減らし、月の総労働時間を抑える働き方のことです。
変動労働時間制を採用している場合も、労働時間の枠に明記されていることが一般的なため、あわせて確認しましょう。
また、飲食店でよくあるトラブルには「ヘルプに行く際の移動時間や制服に着替える時間は労働時間か否か」などが挙げられます。企業の規定を確認し、分からないことは確認するとよいでしょう。
4.賃金
基本給や諸手当、締日、支払日などが明記されています。賃金の記載例は以下の通りです。
賃金 | 1:基本賃金 月給240,000円 2:諸手当 ・通勤手当 10,000円(1ヶ月の定期代を支給) ・住宅手当 20,000円(家賃の20%を支給) 3:所定時間外、深夜労働に対して支払われる割増賃金率 ・時間外労働 25% ・休日労働35%、 ・深夜労働25% 4:賃金の締日 毎月末締 5:賃金の支払日 翌月25日 |
飲食店によっては、月給の中にあらかじめ一定の残業時間を含める「固定残業代制」を導入している場合もあります。その場合は、以下のように何時間分の残業代なのか、具体的な金額も賃金の欄に明記されています。
月給240,000円 ・基本給 210,000円 ・固定残業代 30,000円(20時間分) ※20時間を超える時間外労働については別途残業代を支給 |
月給以外にも、諸手当も確認しましょう。通勤手当や住宅手当などは、一般的な手当ですが、企業によって支給される手当の種類や金額、計算方法は異なります。
前職(現職)での規定を前提にせず、フラットな視点で確認する必要があります。
5.休日、休暇
休日がどのくらいあるのか、有給休暇や産休などの休暇制度について確認します。飲食店は、シフト制が多いため以下のように記載されるのが一般的です。
休日 | 週休2日(シフトにて決定) |
休日は「週1日以上、または、4週間で4日以上」と労働基準法で定められています。(労働基準法35条)また「週休2日」と「完全週休2日」の定義も異なります。
- 週休2日:1ヶ月に1回週2日の休みがある
- 完全週休2日:毎週必ず2日の休みがある
休日に関わる法律や、書き方の定義を理解しておくことで、トラブル防止につなげられます。
また、休暇制度については以下のように明記されています。
休暇 | 有給休暇 産前産後休暇 育児休暇 介護休暇 介護休業 子の看護休暇 生理休暇 |
上記で記載している休暇は、法定休暇にも定められている休暇のため、必ず記載してあるか確認しましょう。飲食店によっては、慶弔休暇や夏季休暇、リフレッシュ休暇など、独自で休暇制度を設けている場合もあります。
6.退職に関する事項
退職に関する事項では、定年制度や継続雇用制度の有無、自己都合で退職する際の手続き、解雇事由及び手続きについてを確認します。記載例は下記の通りです。
退職に関する事項 | 定年制有(60歳) 継続雇用制度有(65歳まで) 自己都合退職の手続き(退職する30日以上前に届け出ること) 解雇の事由及び手続き(天災その他やむを得ない場合、事業縮小当社の都合など) |
特に確認すべきポイントとして、退職をすることになったとき円満退職するためにも、自己都合退職の手続きついて把握しておきましょう。
7.その他
上記で解説した6つのポイントは、必ず労働条件通知書に明記が必要な「絶対明示事項」に該当します。一方、労働条件通知書には会社の制度によって何らかの定めをする場合に書かれる「相対明示事項」もあります。
相対明示事項で明記される具体的な項目は下記の通りです。
相対的明示事項 | 記載されている内容(例) |
---|---|
昇給や関すること | 昇給の有無、昇給時期、金額の決定方法 |
食事や制服の労働者負担に関すること | 賄いやユニフォームなどの負担の有無、負担の割合 |
安全衛生 | 休憩室、仮眠室、健康診断などの有無 |
休職に関すること | 休職制度の有無、規定 |
相対的明示事項は企業によって内容が異なるため、少しでも分からない項目がある場合には入社前に明確にしておきましょう。
飲食業界でよくあるトラブルとは?
労働条件通知書を確認しておかないと、トラブルに発展することもあります。この章では、飲食業界でよくある3つのトラブルや、考えられる解決策について紹介します。
残業代未払い
残業をしたにも関わらず、給与明細を確認すると残業代が含まれていないというトラブルがあります。
残業代が支払われていない場合の解決策として、まずは労働条件通知書などの書類で所定労働時間を確認します。中には固定残業時間制で、月給の中に一定の残業時間代が含まれている可能性もあるため注意しましょう。
そしてタイムカードなど働いた時間が分かるものを証拠として用意し、勤務先と交渉することで後から残業代を請求できる可能性があります。
長時間労働
飲食業界は、長時間労働などの労働時間についてのトラブルもあります。
たとえば、お店が忙しく、休憩時間を取れなかったり終業時刻に仕事が終わらなかったりするケースが挙げられます。
基本的に、労働基準法で定められている労働時間を超えた場合、企業は割増賃金を支払う義務があります。(労働基準法第37条)
解決策としては残業代の未払いの流れと同様に、労働条件通知書で就業時間を確認し、実際に労働した時間の証拠と一緒に勤務先へ交渉しましょう。
休業時の給与未払い
休業時の給与の取り扱いについては、法律を知らない人も多く、後から未払いが発覚する場合もあります。これから入社する方は、お店指示の休業に関する法律を理解しておくことでトラブルを回避できます。
もし、事業者の責による休業(お店都合での休業)があった場合は、平均賃金の60%以上の休業手当を支払う義務があります。(労働基準法第26条)例えば、経営悪化によるによるによる休業や、お店の指示で早上がりした場合などが対象です。
休業時の給与未払いがあった場合も、実際に労働した時間の証拠をもとに勤務先と交渉しましょう。
労働条件によるトラブルを防ぐ方法
労働条件によるトラブルを防ぐ4つの方法について紹介します。
労働条件通知書の変更を依頼する
もし労働条件通知書の中に納得できない条件があった場合、企業と相談して内容を変更してもらうことも可能です。労働条件は、企業と労働者が合意することで変更が可能と、労働基準法第8条でも定められています。
「第八条 労働者及び使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができる。」 |
ただし、一方的な労働条件についての変更や修正はできないため注意しましょう。
雇用契約書も締結する
雇用契約書とは、雇用主と労働者との間で労働契約の内容を明確にするための契約書です。雇用契約書がないことで起こるトラブルのうち、最も多いケースが入社後に労働条件が異なるということです。
雇用契約書は労働条件通知書とは違い、法律上で作成義務はありません。しかし、契約書を作ってもらい書面で締結することで、労働条件による認識の違いを無くし確実性が増します。
また、雇用契約書は書面に署名捺印を締結します。そのため、雇用契約書があることで労働条件通知書の内容が違っていた際に主張できるなどの大きな効力を発揮できます。
転職エージェントに相談する
転職エージェントを通して就職をする場合は、エージェント担当者に相談しましょう。エージェントが、企業と自分との間に立って労働条件の確認や変更などを行なってくれます。
企業と交渉するのが不安という人は、上手に活用してみましょう。
外部機関に相談する
「入社後、選考中に聞いていた話と違う」「労働条件の変更を受け入れてもらえない」などの場合、労働基準監督署への相談もおすすめです。
労働基準監督署へ相談をする場合には記録を準備し、電話または窓口にて相談をしましょう。内容によってはアドバイスだけの場合もありますが、企業側が労働基準法に違反している場合には立ち入り調査をして是正勧告を行ってくれます。
電話での相談は、平日の夜や土日に開設されている「労働条件相談 ほっとライン」へ、窓口の場合は企業を管轄している労働基準監督署に訪問しましょう。
入社前の労働条件の確認は徹底しよう
労働条件通知書で確認するポイントや、飲食店でよくあるトラブルについて紹介しました。トラブルを避けるためには、労働条件の確認を入社前に徹底して行うことが大切です。
もし、労働条件に疑問点や不安がある場合は、企業に確認して内容をクリアにしておくことが大切です。
もし転職エージェントを通した就職活動をしている場合、少しでも不安なことがあれば担当者に相談しましょう。担当者が企業との間に立って、代わりに条件の確認や交渉をしてもらえます。
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