飲食店の店長が抱える主な悩みは？解決策や経営・業務をうまく進めるコツも解説！

飲食店の店長における役割とは？

飲食店の店長の役割は、店舗を運営していくために必要な管理をすることです。ひと口に管理といっても、主に下記の3つをすることが一般的です。

• 仕入れ・在庫管理
• 売上管理
• 人材管理

仕入れ・在庫管理

以下では、各内容について詳しく紹介します。

仕入れ・在庫管理の仕事は下記のとおりです。

内容	お店にある食材や備品の受発注を管理する
ポイント・求められることなど	利益率や顧客の信頼につながる仕事のため、店長が実施することが多い（適切に仕入れ/在庫管理ができていなければ、注文を受けたにもかかわらず、料理を提供できないことにつながってしまう）食材や備品を適切に仕入れ・管理することで、粗利率を高めることが可能飲食店では食品ロスが多くなるほど、粗利率が下がってしまう特に生鮮食品は保存が効かないため、注文状況から過不足なく仕入れることが重要

売上管理

売上管理の仕事は下記のとおりです。

内容	毎日の売上管理家賃や水道光熱費、人件費、客単価や原価などのお金まわりの管理
ポイント・求められることなど	経営がうまくいっているのか、どのメニューによって売上を立てられているのかを把握するため、厳密な管理を求められることが多い 年次ごとに売上目標を立てて、月次、週次と細かく売上管理する場合も 売上管理を細分化しておくと、売上が上下する要因を把握でき、目標達成に向けた施策を講じやすくなる

人材管理

人材管理の仕事は下記のとおりです。

内容	勤怠管理シフト管理採用人材育成
ポイント・求められることなど	学生のアルバイトが多い店舗では、卒業シーズンにスタッフが一気に変わることが多く、新たなスタッフの募集・育成やシフトの安定化をもとめられる 人材の入れ替わりが避けられない飲食店の場合は、人材育成に向けたカリキュラムを用意する場合もある

【項目別】飲食店の店長が抱える悩み

飲食店の店長をする上で、様々な角度から悩みが生じることは珍しくありません。店長が抱える悩みは店舗によって異なるものの、大きく分けると次の2つになります。

• 経営に関する悩み
• 職場・業務に関する悩み

経営に関する悩み

飲食店の店長が抱える経営に関する悩みとして、次の2つが挙げられます。

• 競合店が多く、集客が複雑化している
• 資金繰りが難しく、売上がアップしない

飲食店舗情報サービス『ReCount®︎』によると、日本全国の飲食店舗数は2022年から2023年にかけ、9.1%減少しました。店舗数で言うと82,312店舗減少しています。

飲食店が1年で減少している事実は、飲食店の経営がいかに難しいかを物語っています。

参考：ReCount®︎

上記グラフからは、飲食店舗総数は9.1%減っているものの、チェーン店舗数は微増していることが分かります。

資金面や人材面で体力のある会社が生き残り、そうでない会社が撤退してしまう傾向があるようです。一方小さな店舗であったとしても、自店舗にしかない強みや特徴、顧客との良好なリレーションを所持している店舗は着実な経営をしています。

3つの悩みについて、それぞれ更に詳細を見ていきましょう。

競合店が多く集客が複雑化している

以前はチラシやぐるなびのような広告への出稿を行えば、集客できるところも多かったです。しかし、現在はGoogle Mapの口コミやInstagramなどのSNSで、ユーザー自らが発信～情報収集～来店に繋がるなど複雑になってきています。

以前の飲食店の探し方	現在の飲食店の探し方
チラシぐるなび、食べログなど	チラシぐるなび、食べログなどGoogleマップの口コミInstagramX（旧Twitter）

競合店が近くに多い場合は、他店といかに差別化できるかが競争を勝ち抜く上で重要になります。差別化を図る際は、提供する料理にアレンジを加えてみたり、狙うターゲット層が競合店と被らぬように、あえてずらしてみたりすることが大切です。

資金繰りが難しく、売上がアップしない

資金繰りが難しいことや売上に関する内容は数多くの飲食店店長を悩ませます。飲食店を経営する場合、家賃や水道光熱費、食材費や人件費など、出ていくお金が多くあります。

近年は食材原価が高騰しており、例年と同水準の売上を維持できても手元にお金が残りにくく、資金繰りがますます難しくなってきています。

売上が上がらない要因は様々であるものの、考えられる原因の一つとして、顧客のニーズを満たす運営ができていないことがあります。例えば、どこにでもあるようなメニューしか提供していない飲食店には、顧客が価値を見出せなくなります。

資金に余裕があるうちに新規顧客やリピーターを確保するほか、融資を受けることがおすすめです。融資は手元にお金があるときほど、採択されやすくなります。余裕のあるうちに融資を考えてみることも重要です。

職場・業務に関する悩み

飲食店の店長が抱える、職場・業務に関する悩みは次のとおりです。

• 慢性的な人手不足に陥っている
• 社員やアルバイトと溝がある
• 労働環境が悪い
• 年収が低い

ここからは、職場・業務に関する4つの悩みについて詳しく紹介します。

慢性的な人手不足に陥っている

飲食店の店長が抱える職場・業務に関する悩みとして、慢性的な人手不足に陥っていることが挙げられます。

飲食店の多くは、ほかの業界と比べて「賃金が低い」「休憩や休みを取りづらい」など、仕事をする側から見て働きにくいと感じる要素がいくつかあります。

また、「仕事量が多い」「責任が重い」ことを理由に退職してしまう方も多く、実際に離職率は産業別の離職率を見ても高いことが分かります。

人手不足に悩んでいる店長は、働きやすさを改善することが大切です。業務内容を適正化すると、スタッフ一人ひとりにかかる負担を軽減できる可能性があります。

資金に余裕がある場合は、予約・顧客管理システムやモバイルオーダーを導入すると、業務効率化を図れ、無駄な作業が少なくなります。

社員やアルバイトと溝がある場合がある

飲食店の店長をしている方のなかには、社員やアルバイトと溝があると感じる人も少なくありません。店長と社員やアルバイトの溝は、特に、店長が変わったタイミングにできやすい傾向です。

溝が生じてしまう原因は、コミュニケーション不足によるものがほとんどです。オープンして間もない飲食店の場合は、ルールが明確になっていないことが原因で、社員やアルバイトと不和になるケースも見られます。

スタッフと相談しても関係性が修復できない場合は、エリアマネージャーに介入してもらうことができる場合があります。エリアマネージャーに仲介役となってもらい、意見を出し合うと、お互いが納得できる関係性を構築しやすくなります。

労働環境が悪いことがある

飲食店が抱える労働環境の問題点は以下が挙げられます。

• 長時間勤務
• 不規則な休み
• 人材不足で、社員の負担が増加

飲食店店長をしている場合、労働環境が悪いことに悩みを感じる方も一定数存在します。例えば、仕込みや後片付けなどで勤務時間外の作業が多かったり、スタッフと本部との板挟みでストレスがかかったりすることなどがあります。

ほかには、長期休暇を取得しにくく、家族や友人との時間を確保しにくいことも珍しくありません。

労働環境の改善は、店長一人の力で進めることが難しい項目です。必要に応じて本部やエリアマネージャーの力を借りることが大切です。本部やエリアマネージャーと連携することが難しい場合は、転職を視野に入れることを検討してもよいでしょう。

年収が低い

飲食店の店長が抱える悩みには、年収が低いこともあります。2022年における飲食店と全業界の平均年収は次のとおりです。なお、飲食店の平均年収には、ホールやキッチンが含まれていることを知っておいてください。

項目	平均年収
飲食店	約390万円
全業界	約458万円
飲食業界と全業界の年収差	約68万円

（出典：e-Stat「令和4年賃金構造基本統計調査」）（出典：国税庁「令和4年分民間給与実態統計調査」）

飲食業界と全業界の平均年収を比較すると、飲食業界の平均年収が68万円ほど低くなっています。飲食業界の平均年収を月額に換算すると、月給は29万円程度、賞与は40万円ほどになる計算です。

年収を上げたい飲食店店長は、売上を伸ばして歩合給を高めることを検討してみましょう。もし、歩合給によって収入を高められないときは、選択肢の一つとして転職を選ぶことも大切です。

飲食店の店長が抱える悩みを解決する方法

店長が悩みを抱えたままお店に立つと、士気を下げてしまう可能性があります。店内の雰囲気が悪くなると、顧客が寄り付かなくなり、悩みが増える原因になるかもしれません。

今抱えている悩みは早急に解決することが大切です。飲食店の店長が抱える悩みを解決する方法として、下記の3つが挙げられます。

• スタッフのモチベーションアップを図る
• 本部やスタッフとコミュニケーションをとる/一人で抱え込みすぎない
• 転職することを視野に入れる

それぞれ悩みを解決する方法について下表にまとめました。

スタッフのモチベーションアップを図る
スタッフのモチベーションが上がれば、離職率が下がりやすくなる社員やアルバイトとの溝を修復するきっかけにもなるスタッフのモチベーションアップを図る際は、努力を評価する体制にする必要がある具体的には、スキルアップを果たしたスタッフの時給を上げたり、顧客の声を共有する仕組みづくりを進めたりすることがおすすめです

本部やスタッフとコミュニケーションをとる/一人で抱え込みすぎない
労働環境や人間関係に悩んでいる飲食店の店長は、本部やスタッフとコミュニケーションをとることで悩みを解決できる可能性がある。 本部やスタッフも日々業務に追われているため、店長の仕事量について気づいていないことがあるため、声をあげることが有効な場合がある。

転職することを視野に入れる
「今の環境を変えられない」「将来的に年収アップを期待できない」という飲食店の店長は、転職することを視野に入れる転職エージェントに相談して現状を客観視してもらう

転職に関しては最後の手段かもしれませんが、ワークライフバランスがとれず体調を崩すと、今後のキャリアを台無しにする可能性がゼロではありません。

条件面の整った職場へ転職できれば、ワークライフバランスが充実するだけでなく、自身のキャリアアップも図りやすくなります。

店長の経験を活かして、生鮮・飲食業界で転職を目指す場合は、「フードコネクト」を利用してみてください。フードコネクトは、生鮮・飲食業界の転職に特化しており、非公開求人を多数保有しています。

できる店長がやっている！経営・業務をうまく進めるコツ

できる店長は、次のような取り組みをしています。

• 的確な指示を出す
• 改善策を考え、行動で示す
• 注意する際に配慮する

的確な指示を出す

経営・業務をうまく進める店長は、スタッフに的確な指示を出します。例えば、受注を依頼する際における、良い指示と悪い指示は次のとおりです。

良い指示	〇〇を×日までに、△個届くように☆☆社へ連絡してくれない？
悪い指示	〇〇を注文しておいて。

指示を出す際のポイントは、相手へ的確に伝わるように話すことです。的確な指示が出せると、スタッフとのコミュニケーションエラーを減らすことが可能です。コミュニケーションエラーによって、お互いが不快な気持ちになることが少なくなります。

新人スタッフに指示を出す際は、専門用語や業界用語を使わず、日常的な言葉を使うことが大切です。

改善策を考え、行動で示す

経営・業務をうまく進める店長は、課題点を見つけ、現状を打破する改善策を立て実行する力があります。売上が下がったり、クレームが増えたりしたときに、問題を周囲のせいにしません。何が原因でトラブルが生じているのかを突き止める努力をします。

例えば、思ったように売上が伸びないときは、新メニューを開発したり、宣伝の仕方を変えてみたりするなど、新たな取り組みを考えます。

改善策を柔軟に考えたい方は、市場や競合店の動向やトレンドにアンテナを張ることが大切です。

策を考えたあと、周りとコミュニケーションを取りながら実行するまでが大切です。

行動で示すことにより、スタッフからの信頼が高くなり、連携がよりスムーズになります。

さらに、集客や売上の向上も見込めます。

注意する際に配慮する

できる店長は、スタッフとの信頼関係構築を重視します。スタッフへ注意する際は、言葉づかいやアプローチ方法に配慮します。

例えば、スタッフが何かトラブルを起こした際に、頭ごなしに注意することは控えるべきです。スタッフを尊重した上で注意するのであれば、叱る理由を伝えた上で、どうすればよくなるのかを伝えることが大切です。

叱る理由と改善方法をセットで伝えれば、素直に聞き入れてもらいやすくなります。なお、スタッフを注意する際は、人目のつかない場所でしましょう。

反対によかった部分は朝礼やミーティングなど、多くのスタッフが集まる場所で褒めることがおすすめです。

まとめ：飲食店の店長で悩んだときは

飲食店の店長をしていると、経営や職場・業務などで悩みを抱えることが少なくありません。悩みが生じた際には、できるだけ早く解消することが大切です。まずは、悩みがなぜ起こったのかを突き止めることから始めてみましょう。

今抱えている悩みが解消できそうにない場合は、転職を検討することも手段の一つです。生鮮・飲食業界で転職を目指す場合は、「フードコネクト」を利用することがおすすめです。